ドライブをしていてトンネルに突入すると、
天井から飛行機のジェットエンジンにも見える巨大なプロペラが
ぶら下がっているのを見た経験、あるかと思います。
これ、なんだかわかりますか?
たぶん、
見た事はあるものの用途はわからない
という方、多いんじゃないでしょうか。
今回はこの謎の巨大プロペラの正体について
触れていきたいと思います。
旅の雑学として、
次のドライブで見かけた時に
へぇ~。
と、思い出しながら見てみてください(笑)
巨大プロペラの正体
概要
まず最初にこの装置の名称ですが、
ジェットファン
と言います。
そして正体は何かというと、
トンネル内喚起を目的とした送風機なんです。
制作メーカーは、
パナソニック・三井三池製作所・三菱重工業…等々、
需要がどれくらいの規模なのかはわかりませんが、
結構いろいろな企業が商品化して売り出しています。
サイズは機種によって大小ピンキリですが、
概ね 外形φ1,000〔mm〕×長さ3,000〔mm〕くらいになっており、
結構大きいんです。
そして、驚くべきは送風性能!
強いものだと台風クラスの35〔m/sec〕もの送風能力を持っているんです。
自分たちが走っている上の空間でそんな強さの送風が行われているとは、
驚きですよね。
ジェットファンの換気システム
さて、このジェットファンですが、
プロペラが動いている時と動いていない時があるのに
気づいていますでしょうか。
プロペラが動いていない時があるのは、
ジェットファンの ON/OFFをシステムが制御しているからです。
(知る前は故障かと思ってました(笑))
実は、トンネル内の雰囲気(空気の状況)は、
様々な計測機器常によってセンシングされていて、
換気の必要性を適宜判断できる様にシステム化されているんです。
[センシング項目の例]
・煙霧透過率測定
・一酸化炭素濃度測定
・風向&風速測定 …等々
確かに、
24時間365日 必要が無いときまで超強力な送風機を
動かし続けるのは、ムダですもんね。
トンネルをただの穴と思っていたら大間違いで、
実はいろいろな技術が詰まっているんですね。
トンネル内の喚起とは
さて、そもそもそんな大掛かりな設備を入れてまで
なぜトンネル内の換気を促す必要があるか?について。
トンネルは出入り口の少ない空間なので、
特に距離が長い場合は内部の空気が滞留しやすくなっています。
その為、
トンネル内部で発生した自動車の排気ガスなどが滞留してしまう事で、
以下のリスクが発生してしまいます。
①トンネル内の有害物質濃度が上がり人体に影響を及ぼす
②トンネル内がガスにより視界不良になる
こういったリスクを排除する目的で送風機を設置し、
内部の空気を外へ出し、新鮮な外の空気を取り込む事をしています。
ですので、
短いトンネルなどの空気の循環が良い場合は設置がありません。
トンネル内の換気方法について
今回はジェットファンについてご紹介をしていますが、
トンネル内換気の方法は、なにもこれだけではありません。
トンネルの形状や長さ等によって最適な換気方法は異なる為、
世の中では他にも様々な手法が使われていますので、
気になった方は調べてみると面白いですよ。
参考までに、
東京湾アクアライン(神奈川-千葉をつなぐ海底トンネル)では、
海底トンネルの中央付近に風の塔と呼ばれる人工島がありますが、
実はこれトンネル内の吸気と排気を行う為の換気施設なんです。
トンネル内換気にこれだけ大きな施設を作ってしまうんですから、
それだけ大事って事なんですよね。
それにしても、あまりの大きさにびっくりです!
[風の塔]
場所:神奈川県川崎市浮島沖合5km
人口島の大きさ:直径200m・深さ75m
換気施設(大塔):吸気用。高さ90m。
換気施設(小塔):排気用。 高さ75m。
最後に
いかがでしたでしょうか。
外に出ると、
よく見かけるけれど正体がわからないモノって色々ありますよね。
今後もこういった豆知識をアップしていくので、
気に入ってくれた方はお付き合いください。